2023年08月25日

レガシー600 謎の墜落

今ごろ「事実は小説より奇なり」は死語だが、昨日ロシアで発生したビジネスジェット機墜落事故は何といえばいいのだろう。


ロシア政府の公式発表では、モスクワからサンクト・ペテルブルグに向かって飛び立ったビジネスジェット機レガシー600が、その経路の途中で突然墜落し爆発炎上、乗員乗客10名の全員が死亡した。乗客リスト7名の中にはエフゲニー・プリゴジンとドミトリー・ウトキン(ワグネル創業者および幹部)の名前があった。さあ大変だ。タイミング良く墜落する飛行機を撮った動画もSNSで拡散している。ミサイルによる撃墜説も出た。いや、待てよ。プリゴジン氏のようなお尋ね者が昼間から出歩き、首都空港から旅立つなんて大胆すぎないか?乗っていたのは影武者じゃないか?映画007やMIPで演じられる超アクションで世界中の眼を欺こうとしたんじゃないだろうか?「ロシアで何が起きても驚かない」と言ったバイデン大統領の言葉は名言だ。今度はどんなレガシーを作るつもりだろうか。

そのレガシー600。細身の胴体にカマスみたいな機首を持つ近距離旅客機エンブラエル ERJ135(37客席)のパーツを利用して13~16席用に縮小したビジネスジェット機がレガシー600だ。6000kmの航続距離があり、世界中に70機以上売れている。
  


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2023年08月18日

海のサバイバー、空のサバイバー  

前回ジャングルで40日間生き抜いて生還した姉弟の話をした。今回は海と空の危険な旅で生き抜いたサバイバーの話。サバイバーと言うとカッコいいが、実は密航者の話です。

から船の密航と言えば救命ボートにもぐりこむのが常道だったが最近はちがうようだ。先ごろカナリア諸島のラスパロマスに入港した大型タンカーに乗っていた四人の密航者がスペイン港湾当局者に拘束された。このタンカーは西アフリカのラゴスから、10日間の航海を経てラスパロマスに着いたもの。四人の密航者は舵柄の上に座っていた。舵の上は四人が横並びに腰かけるほどのスペースはあるが、波をかぶってもつかまる手すりはない。密航者たちは船の行き先も知らず食料持参でここに座り10日間のクルーズを過ごした。ここは波にさらわれる危険はあるが、航海中に船員に見つかることもない密航者の特等席だ。



10日間という密航は短い方だが、もっと短期間で密航したい向きには空の密航がある。(有名なG社長がやった楽器箱に隠れてビジネスジェットに潜り込むテは費用がかかりすぎる)アフガニスタンやイラクの混乱時にしばしば見られた手段は大型輸送機の降着装置収納庫(車輪の格納空間)に潜り込む方法だ。降着装置は通常機首と胴体中央部左右の三〜五ヶ所にある。密航者は空港の見張りの眼をくぐり、出発直前に降着装置にもぐりこむのだ。しかし問題は二つある。①降着装置の中が狭い事。とても人間がひとりくつろげるスペースではない。タイヤを収容する機械は余分な物を容赦無く押しつぶすだろう。②超低温と希薄な酸素。ジェット旅客機や大型輸送機が飛ぶのは高度一万メートルの高度。気温は摂氏マイナス35度の世界で酸素も薄い。普通の人間にはとても耐えられない。そこを5〜8時間飛び続ける。(発見後に治療を受けて奇跡的に生還した密航者もあるけど)まあ、空の密航もおやめになった方がよろしいでしょうね。



  


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2023年08月12日

少年少女サバイバル術  


米コロンビアのジャングルで、行方不明だった生存者が40日ぶりに救出された。生存者は13歳の長女レスリーと生後11ヶ月の妹を含む4人の姉弟だった。乗っていた飛行機が墜落し、同乗の母親と操縦士らは死亡。子供達だけが奇跡的に生き残った。4人は野生動物の襲撃から逃れ、飢えと寒さをしのぎ、救出路を求めて40日ぶりに生還した。姉弟は先住民の生まれで、幼いときから両親に自然と共存して生きる術を教えられて育った。原生林の中では写真のようなスイス・アーミーナイフなどオモチャにもなるない。


ういえば半世紀も昔、ボクも焼け跡の小学生だった。敗戦直後で物も心も貧しい日々、文房具や玩具は当然のこと、食料さえも乏しかった。ボクは少年野球チームにでも入るように近所のボーイスカウト隊に加わり生まれて初めて野外生活を経験した。(戦時中、空襲警報に急かされて広場の防空壕で夜を過ごしたことはあるけどね)一週間分の食料をはじめ天幕や鍋釜、食器、毛布、石鹸、歯磨き道具、着替えまで背負っての野外暮らしは楽しかった。

学生になり森で手作りのねぐらを作りかたを習ったが、もしもそれをレスリーが見たら腹を抱えて笑っただろう。ボクらがやっていたことはレスリー達のサバイバルにほど遠い遊びだった。スカウトのサバイバル訓練は高校・大学生の年代にはもっと本格的になったようだが、それでも陸上自衛隊のレンジャー訓練には及ぶまい。どちらもボクは未経験で、いつしか関心が離れてしまった。いま私たちが突然ジャングルに迷いこむことはないだろう。しかしいま住んでいる都会がジャングルに急変する事態はないとは言えない。平和な町に或る日とつぜん核ミサイルの雨が降るとか、南海トラフが眼を覚ませば街は一瞬にして廃墟になることはあり得る。そうなれば都会の暮らしは40日間どころか当分途絶えてしまうだろう。スカウトのスローガンはBe Prepared「そなえよ 常に」だった。この言葉だけは今も忘れられない警句だ。
  


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