2023年08月25日

レガシー600 謎の墜落

今ごろ「事実は小説より奇なり」は死語だが、昨日ロシアで発生したビジネスジェット機墜落事故は何といえばいいのだろう。


ロシア政府の公式発表では、モスクワからサンクト・ペテルブルグに向かって飛び立ったビジネスジェット機レガシー600が、その経路の途中で突然墜落し爆発炎上、乗員乗客10名の全員が死亡した。乗客リスト7名の中にはエフゲニー・プリゴジンとドミトリー・ウトキン(ワグネル創業者および幹部)の名前があった。さあ大変だ。タイミング良く墜落する飛行機を撮った動画もSNSで拡散している。ミサイルによる撃墜説も出た。いや、待てよ。プリゴジン氏のようなお尋ね者が昼間から出歩き、首都空港から旅立つなんて大胆すぎないか?乗っていたのは影武者じゃないか?映画007やMIPで演じられる超アクションで世界中の眼を欺こうとしたんじゃないだろうか?「ロシアで何が起きても驚かない」と言ったバイデン大統領の言葉は名言だ。今度はどんなレガシーを作るつもりだろうか。

そのレガシー600。細身の胴体にカマスみたいな機首を持つ近距離旅客機エンブラエル ERJ135(37客席)のパーツを利用して13~16席用に縮小したビジネスジェット機がレガシー600だ。6000kmの航続距離があり、世界中に70機以上売れている。
  


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2023年08月18日

海のサバイバー、空のサバイバー  

前回ジャングルで40日間生き抜いて生還した姉弟の話をした。今回は海と空の危険な旅で生き抜いたサバイバーの話。サバイバーと言うとカッコいいが、実は密航者の話です。

から船の密航と言えば救命ボートにもぐりこむのが常道だったが最近はちがうようだ。先ごろカナリア諸島のラスパロマスに入港した大型タンカーに乗っていた四人の密航者がスペイン港湾当局者に拘束された。このタンカーは西アフリカのラゴスから、10日間の航海を経てラスパロマスに着いたもの。四人の密航者は舵柄の上に座っていた。舵の上は四人が横並びに腰かけるほどのスペースはあるが、波をかぶってもつかまる手すりはない。密航者たちは船の行き先も知らず食料持参でここに座り10日間のクルーズを過ごした。ここは波にさらわれる危険はあるが、航海中に船員に見つかることもない密航者の特等席だ。



10日間という密航は短い方だが、もっと短期間で密航したい向きには空の密航がある。(有名なG社長がやった楽器箱に隠れてビジネスジェットに潜り込むテは費用がかかりすぎる)アフガニスタンやイラクの混乱時にしばしば見られた手段は大型輸送機の降着装置収納庫(車輪の格納空間)に潜り込む方法だ。降着装置は通常機首と胴体中央部左右の三〜五ヶ所にある。密航者は空港の見張りの眼をくぐり、出発直前に降着装置にもぐりこむのだ。しかし問題は二つある。①降着装置の中が狭い事。とても人間がひとりくつろげるスペースではない。タイヤを収容する機械は余分な物を容赦無く押しつぶすだろう。②超低温と希薄な酸素。ジェット旅客機や大型輸送機が飛ぶのは高度一万メートルの高度。気温は摂氏マイナス35度の世界で酸素も薄い。普通の人間にはとても耐えられない。そこを5〜8時間飛び続ける。(発見後に治療を受けて奇跡的に生還した密航者もあるけど)まあ、空の密航もおやめになった方がよろしいでしょうね。



  


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2023年08月12日

少年少女サバイバル術  


米コロンビアのジャングルで、行方不明だった生存者が40日ぶりに救出された。生存者は13歳の長女レスリーと生後11ヶ月の妹を含む4人の姉弟だった。乗っていた飛行機が墜落し、同乗の母親と操縦士らは死亡。子供達だけが奇跡的に生き残った。4人は野生動物の襲撃から逃れ、飢えと寒さをしのぎ、救出路を求めて40日ぶりに生還した。姉弟は先住民の生まれで、幼いときから両親に自然と共存して生きる術を教えられて育った。原生林の中では写真のようなスイス・アーミーナイフなどオモチャにもなるない。


ういえば半世紀も昔、ボクも焼け跡の小学生だった。敗戦直後で物も心も貧しい日々、文房具や玩具は当然のこと、食料さえも乏しかった。ボクは少年野球チームにでも入るように近所のボーイスカウト隊に加わり生まれて初めて野外生活を経験した。(戦時中、空襲警報に急かされて広場の防空壕で夜を過ごしたことはあるけどね)一週間分の食料をはじめ天幕や鍋釜、食器、毛布、石鹸、歯磨き道具、着替えまで背負っての野外暮らしは楽しかった。

学生になり森で手作りのねぐらを作りかたを習ったが、もしもそれをレスリーが見たら腹を抱えて笑っただろう。ボクらがやっていたことはレスリー達のサバイバルにほど遠い遊びだった。スカウトのサバイバル訓練は高校・大学生の年代にはもっと本格的になったようだが、それでも陸上自衛隊のレンジャー訓練には及ぶまい。どちらもボクは未経験で、いつしか関心が離れてしまった。いま私たちが突然ジャングルに迷いこむことはないだろう。しかしいま住んでいる都会がジャングルに急変する事態はないとは言えない。平和な町に或る日とつぜん核ミサイルの雨が降るとか、南海トラフが眼を覚ませば街は一瞬にして廃墟になることはあり得る。そうなれば都会の暮らしは40日間どころか当分途絶えてしまうだろう。スカウトのスローガンはBe Prepared「そなえよ 常に」だった。この言葉だけは今も忘れられない警句だ。
  


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2023年05月19日

九五式軽戦車とご対面  


岡ホビーショーの会場で、旧帝国陸軍の九五式軽戦車を見た。その姿は「大洗戦車博物館」(廣済堂出版)などで見知っていたが、よもや実物に対面できるとは…。九五式の武装は37mm砲と重機関銃1丁、最高速力40km/h 当時のスターリン戦車やタイガー戦車、M4シャーマン戦車と比べると、チョロQみたいで可憐にみえる。昭和10年(1932)制式採用され中日戦争から太平洋戦争の終わりまで使われ続けた。この夏、ファインモールド社から1/35スケールモデルキットで発売予定という。  


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2023年05月13日

TAMIYAのレオパルド2A6が出るぞ〜


2023年静岡ホビーショーに行ってきた。入口に陸自の戦車がドスンと鎮座して雰囲気を盛り上げた。会場のツインメッセはあいにくの雨にもかかわらず模型ファンで大混雑。ゆっくり見物できなかった。TAMIYAブースの混雑も例年通り。今年は久しぶりに1/35スケールのレオパルド2A6が登場するという話。ジャンルは違うがHONDAのアフリカ・ツインも1/6ビッグスケールで登場する。今年もTAMIYAのスケールモデルから目をはなせない。
  


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2023年04月22日

ささいなことだけど…

大リーグの試合中継を見た。ホームランを打った選手を味方チームメートが取り囲み、大きな帽子をかぶせて祝福する。帽子は土地柄に合わせてテンガロンハットだったりソムブレロになった。先日は日本のカブトが登場して驚いた。なんでも大谷選手が日本から持っていったものらしい。彼の盟友トラウト選手がカブトで祝福第一号になった。

そのカブトをかぶったトラウト選手を見てあっと思った。鍬形が左右差し違えていた。我が家で五月人形を飾るとき、兜を組み立てるのがボクの仕事だったから気づいたのだ。ちょっと見、わからないけど、鍬形には左右がある。間違いに気づいた誰かがミスの訂正に動いたらしい。次のホームラン・バッターがかぶったカブトは正しい鍬形になっていた。このカブト、当然ながら古式にもとずく手作りでひとつ100万円もするらしい。ささいな事だけど、鍬形の誤りに気づいて直した誰かさんに拍手したい。  


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2023年04月13日

電動飛行艇が飛ぶ時代  

類が初めて動力で空を飛んだのは1903年12月17日だが、飛行機の進歩は今も続いている。もっと速く、もっと静かに、もっと多勢乗せて、もっとたくさん積んで、もっと、もっと…人類の夢はキリがない。

動飛行機は、その夢のひとつだ。すでにいろいろな電動飛行機の研究と試作が進んでいる。スイスに本拠を置くジェクタ航空(Jekta Aviation)もその一社だ。同社が開発を進める電動飛行艇PHA-ZE 100は主翼に10基の電動機を備える飛行艇だ。乗員3名、乗客19名。(VIP仕様に変更すれば4席プラスベッドもOK)今のところ航続距離は180kmで、巡航速力は250km/hで新幹線ひかり号には少々及ばないが快適性では負けまい。何よりも飛行艇だから空港がなくても離島、湖、大きな川に離着陸できるのだ。それに排気ガスを出さない地球にやさしい低公害マシーンなんだから。

のジェクタ社に強力な応援団があらわれた。アブダビに本拠を置くGAYO AVIATION(ギャオ・アビエーションとでも読むのかな)ホテル業と航空機ブローカーなど幅広く兼務する旅行関連企業が10機のPHA-ZE 100を発注してくれた。5年後には島国日本にもジェクタの電動飛行艇が飛び交うかもしれない。(情報はAviation Weekより)


  


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2023年04月07日

世界の空港ベスト20 人気投票





港なんてどこも同じ、と思ってはいけない。終点の空港駅で降りて搭乗口へ直行するような旅をしてるひとは気づかないが、一度でも途中で乗り継ぎをする旅をするとわかるのが、空港で過ごす時間の大切さだ。

アラインの人気投票でおなじみのSKYTRAXが世界の国際空港を利用者の声でランク付けた人気投票が発表された。題してBEST AIRPORTS OF 2023。以下第一位から二十位まで並べてみた。日本は成田、羽田、関空、中部の三つが名を連ねているが、あなたのごひいき空港の名前はあるだろうか?

第1位 チャンギ国際空港 シンガポール       
第2位 ハマド国際空港 カタール          
第3位 羽田国際空港 日本                  
第4位 仁川国際空港 韓国             
第5 位 シャルル・ド・ゴール国際空港 フランス        
第 6位 イスタンブール国際空港 トルコ              
第7位 ミュンヘン国際空港 ドイツ           
第8位 チューリッヒ国際空港 スイス        
第9位 成田国際空港 日本             
第10位 マドリッド・バラハス国際空港 スペイン
   
第11位 ウイーン国際空港 オーストリア
第12位 ヘルシンキ・ヴァンター国際空港 フィンランド
第13位 ローマ・フィウイチーノ国際空港 イタリア
第14位 コペンハーゲン国際空港 デンマーク
第15位 大阪 関西国際空港 日本
第16位 名古屋 セントレア国際空港 日本
第17位 ドバイ国際空港 アラブ首長国連合
第18位 シアトル タコマ国際空港 アメリカ
第19位 メルボルン国際空港 オーストラリア
第20位 バンクーバー国際空港 カナダ  


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2023年03月31日

号泣なんて大げさな  

ねがね思うことだけど、マスコミは大げさな表現が大好きだ。たとえば客船が寄港するときまって「豪華客船来たる」と書く。客船には豪華という枕ことばをつけたがるのだ.。客船に豪華・非豪華の基準はない。ホテル同様に料金区分でラグジュアリー、プレミアム、カジュアルなど区別はあるが、カジュアル級客船でも充分に「豪華」だ。客船はただの「客船」でいいじゃないか。

最近多いのが「号泣」だ。スポーツ選手やTVタレントが感動して涙ぐめば「号泣」と書き立てる。先日は話題のUチューバーH氏が母堂の自宅を家宅捜査され、泣き声で抗議したら「号泣」したと書かれた。もともと号泣とは「大声をあげて泣くこと」(広辞苑)だ。乳幼児が転んで泣く有様こそ号泣だが、大人が涙ぐむのは号泣ではない。少なくても大人の男はひと前で号泣などしないものだ。日本語の乱れが悲しい。  


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2023年03月10日

赤とんぼの夢  

まれて初めてオートバイに乗ったのは十八歳の頃だった。忘れもしないそのバイクは、兄貴がどこからか借りてきたヤマハのYA1だった。

YA1は楽器メーカーのヤマハが最初に作ったオートバイ。2ストローク125ccエンジンでドイツのDKWのRET-125が手本だった。マイカー時代は未だ遠く、当時はかつての重工業から町工場までが独自のオートバイの製造販売に手を染めていた。スーパーカブしか乗ったことのないボクにはクラッチ付き4速ミッションのYA-1は難物で、たびたびクラッチ操作を誤りエンストさせた。そのたびに兄貴から「バッキャロ〜!ギアの歯が欠けちゃうじゃねえか」と怒鳴られた。しかし慣れるとYA1は快適で軽快だった。何しろ車重は94kgで今のハンターカブよりも軽い。黒色塗装が多いバイク界でワインレッドのYA1は異色だった。浅間高原レースで大挙して入賞したYA1は、その姿から「赤とんぼ」というニックネームが定着した。

の後しばらくして兄貴がヤマハのYD1に乗ってきた。2サイクル250cc2気筒エンジンを載せたYAMAHAの野心作。今度はお手本なしでヤマハが独力で作りあげたロードバイクである。淡いグレーの車体にぶんぶく茶釜のような焦げ茶色のタンクが特徴だった。サドルに跨がっただけで140kgの車重が怖かった。

家庭をもちマイカーを持てってもバイクはボクの足だった。やがてバイクは趣味の低山歩きの延長からトレールタイプに特化し、DTやXLXにテントをのせて信州の野山を巡った。歳月は流れ、バイクも車庫から消えていった。近ごろは高原や林道をバイクで走る夢ばかりみる。バッキャローと怒鳴ってバイクの指南をしてくれた兄貴も去年の夏に逝ってしまった。いまはいろんな思い出が早足に駆け去ってゆく。


  


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2023年02月27日

たまにシャバに出てみたら  

人が所用あって日帰りで奈良に出かけた。物見遊山じゃない。直行直帰の急ぎ旅。二年ぶりに乗るひかり号だった。やっぱり新幹線は普通席でも飛行機より足元がゆったりしていい感じ。ユーロスターやTGVは2x2席だから足元も通路も狭い。けれど揺れと騒音は新幹線の方が大きいかな。だが新幹線の高速走行の安定感は凄い。粉雪が舞う関ヶ原をぐんぐん走る頼もしさは圧巻だ。車掌さんの車内放送の英語もちょっぴりサマになってきた。デビュー半世紀でハードにソフトが追いついてきた感じ。

都駅で私鉄に乗り換えるため駅ビル内を歩いて驚いた。まるで航空母艦のなかみたいな混雑と騒音だ。ひとびとは壁に埋めこまれた機械で切符を買う。機械に向き合い経路を確認してお金を投入する。生きた駅員から切符を買いたいと思ったら、カウンター窓口の長蛇の列に並ばなければいけない。係におずおずと質問すると早口の日本語が返ってきた。まるで黒澤明の映画に登場する役者たちみたいな早口言葉。半分は聞き取れない。案内地図や広告パンフレットはグラフィックデザインの奥義に基づき美しく心地よい色使いと瀟洒なレイアウトだが、活字は小さく文字の色は淡い。老いた仙人の視力に余る。地図も同様だ。美しさよりもっと見やすさ、わかりやすさを優先して欲しい。

ただしい一日で用事を済ませた。世の中の活気が否応なく全身に染み込み、帰りのひかり号でドッと疲れをおぼえた。日ごろ竹林でゴロゴロしている仙人には必要な刺激になった。日本はこの先どんな国になるんだろ?やっぱりのんびりした暮らしがいいな、仙人は。




  


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2023年02月03日

しょうゆ顔 ソース顔 

新しい大河ドラマがスタートした。テレビ局はあらゆる「デバイス」を駆使して番宣する。おかげで今売れっこの若手タレントの顔をすっかり覚えてしまいそうだ。いずれも鼻筋通った凛々しい顔立ち。(なかには女性と見まごう美形もいるが)彼ら若い出演者を見て思った。あの時代に彼らみたいにカッコいい男たちがいたのかな、と。

昔の日本人のホントの容姿を知るのは、家康の時代から250年も後になってからだろう。それは幕末明治に来日した外国人カメラマンや(上野彦馬や下岡蓮杖)が撮った写真のおかげだろう。そこには坂本竜馬、高杉晋作、徳川慶喜、近藤勇、土方歳三、福沢諭吉ら有名人の顔がある。無名人(失礼)でもちょんまげ姿でパリ万博を訪れた武士や、咸臨丸で米国を訪れた船大工長吉の顔も記録されている。当時の日本人の容姿は西欧人の眼にとかく異様に見えたらしい。なかには日本人を貧相な猿に似せて描いた意地悪な画家もいた。

実際に勝麟太郎や土方歳三のような「ソース顔」の」イケメンはまれで、ほとんどが近藤勇や大工の長吉のようにジャガイモみたいな「しょうゆ顔」が多かったようだ。残念ながら世界標準ではいささか見劣りしたかもしれない。エンターティメントに過ぎない大河ドラマに「真実の探求」を求めるのもヤボと言うもの。でも長年かけて頭になかに構築されていたサムライのイメージが壊れていくのが悲しい。



  


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2023年01月17日

痛ましい、あまりに痛ましい

1月15日、ネパールのポカラ国際空港近くに双発旅客機が墜落した。

客機はイエティ航空のYT691便、ATR72-500双発プロペラ機で乗員乗客72名が乗っていた。AviationSafety Networkが伝えるところによると、YT691便は首都カトマンズ国際空港からポカラ国際空港に飛来したもの。ポカラ国際空港は1月1日に開港し運用をはじめたばかり。国際空港と言っても滑走路は東西に伸びる(12/30)が一本だけ。数キロ西の山地には旧ポカラ空港が残っている。地方紙によると時刻は11:00頃、YT691便はポカラ国際空港に進入。東口30番滑走路への着陸を指示する管制官に対し、パイロットは西口12番滑走路への着陸を求めてきた。そのため同機は滑走路上空を通過して旋回にうつった。車輪を出したまま旋回する様子がSNSで公開され、その直後に墜落事故が起きた。


ATR72機は新空港と旧空港のなかばにある渓谷に墜落した。17日現在調査中でブラックボックスとボイスレコーダーは回収されたが、乗員乗客のほとんどは絶望的だ。副操縦士の夫は2006年に事故死したパイロットで、未亡人になった彼女は夫の見舞金を学資に航空学校を卒て念願のパイロットになったという。

題のATR72-500はフランスのアエロスパシアル社とイタリアのアレニア社が共同開発した近距離用小型双発プロペラ旅客機。原型初号機の初飛行は1984年で、長い期間をかけて各国各社の計画参加と脱退があり、現在の形に完成した。最大乗客数も42~76名、貨物用大型ドアも選べる汎用性を評価され、これまで1,500機ほどが世界中で使われている。無理のない使いやすい機体のようだ。
  


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2022年11月13日

航空ショウの空中衝突事故  

たましい航空事故が発生した。11月12日午後1時20分頃、テキサスl州ダラス郊外のレッドバード飛行場で開催中の航空ショーで、ボーイングB-17G爆撃機とベルP-63キングコブラ戦闘機が空中接触して両機とも墜落炎上、双方の搭乗員が死亡するいたましい事故になった。B-17は映画「図上の敵機」や「メンフィス・ベル」でおなじみの爆撃機だ。

開された動画をみると、高度150mほどの低空で通過するB-17の左後方上空から急接近したP-63が、あっという間に爆撃機の胴体中央部に衝突、爆撃機は主翼と胴体機首側が、尾翼と胴体後半部に切断されて落下、地面に激突して火柱と黒煙を吹き上げた。一方、P-63は衝突と同時に細かく分解して空中に飛散した。P-63は単座戦闘機だから乗員は1名だが、B-17に何名搭乗していたか不明で、現在事故原因と共に調査中という。観衆に怪我人が出なかったことは不幸中の幸いだ。両機ともアメリカン・エアパワー・ヘリテージ航空博物館が所有する希少な飛行機だ。Up date:その後の調査でB-17には操縦士を含め5名が搭乗していたことがわかった。

  


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2022年11月11日

盗難多発地帯デス  

 速道路ICに近く、駐車場が広いのでよく利用する回転すし店がある。ただひとつ、気になるのは、その店に車を停めると必ず「盗難多発地帯デス。ゴ注意クダサイ!」というNAVIアナウンスがあることだ。いったいどんなl基準で危険アナウンスを入れるのか知らないが、思わず周囲を見回してドアロックをするようになった。

 日運転免許証書き換えに付き添い警察署まで行った。この警察署、いつも駐車スペースが狭くて苦労するのだが、今日は1台分空いていてすんなり駐車できた。停めてエンジンを切ったとたんにNAVIがしゃべった。「盗難多発地帯デス。ゴ注意クダサイ!」えっ?ここ警察の駐車場だろ?  


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2022年10月28日

マニアックなヒコーキ本  

変わらずの図書館通いのおかげで面白いヒコーキ本をみっけた。書名は「現役航空整備士が書いた かなりマニアックな飛行機豆知識」内容はタイトルが語り尽くしているけど、うれしいことに全編手描きイラストや手書き文字を駆使して親しみやすく判りやすい。(それにカラー写真と精密図面も併用してるところがマジメだな)

とえば「発電機」の項目。ボーイング787の場合、「飛行中に必要な電力はすべてエンジンに取り付けた発電機から供給されている」そうだが、これが故障した場合は機尾の補助動力設備の中にも2台の発電機がある。さらに万一それらがすべて故障した場合は胴体の下から風力式発電機がにょきっと現れて電力を補うそうです。まあ、典型的なフェールセーフ設計なんだね。そのほかトイレの構造、エンジンの仕組みなど、乗客には関係ないのにマニアが知りたがる、そしてシロウトが絶対に見ることのできない旅客機のメカニズムが満載だ。ヒコーキ知ったかぶりをしたい方は必読の一冊だろう。「現役航空整備士が書いた かなりマニアックな飛行機豆知識」編者・発行者 公益社団法人 日本航空技術協会 著者 中村惣一 価格1500円  


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2022年10月14日

eプレーン(電動旅客機)の時代がやってくる  

の先ちまたではやるのは電動自転車、電動バイク・マイカー・タクシー・バス・トラック。おまけに電動旅客機も登場だ。

ゥエーデンのハート・エアロスペース社が2年前に公開した電動旅客機計画ES 19がいよいよ具体化をはじめた。ES19はボンバルディア・ダッシュ7を少し小型化したような4発旅客機で胴体腹部に長大な電池収納スペースをもつ。客席は19席で航続距離は400kmと短いが、近距離間に小空港が多い北欧では着陸地で充電すれば短時間で再出発できる。何よりも電動エンジンだからレシプロエンジンよりも部品点数が少なくて整備時間も短く割安だ。おまけに大気汚染なし、騒音なし。電源はイオン・リチウム電池で、規格化が進めば着陸地で使用すみ電池パックを新品パックにカパッと交換できて整備が簡単になる。

んなわけでES 19は北欧の航空会社ばかりでなく、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど世界中の地域路線をもつ航空会社の関心を集めた。その結果、ハート社はES 19の仕様を拡大して30座席型のES 30をカタログに加え、現在12社から計300機の予約を得ているという。同時にスゥエーデンのサーブ社やカナダ航空などの協力も得て計画の実現をすすめることになった。電動飛行機は他にも複数社が開発をしているが、ES 19/20はもっとも実現に近そうだ。  


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2022年10月07日

2022年SKYTRAX版 世界の航空会社ベストテン

久しぶりにスカイトラックスの格付け結果が発表された。
The World"s Top 10 Airlines in 2022



1989年に英国で設立された航空関連格付け組織SKYTRAXが2022年度の世界航空会社格付けを発表した。時節がらコロナウイルスへの対策体勢が大きな評価点になった様子。まずは総合ランキングは以下の通り。(内数字は2021年度の順位)今回も仏を除き米英独など西欧国の名前は見あたらない。




第1位 カタール航空(第 1位)
第 2位 シンガーポール航空(第2位)
第 3位 エミレーツ航空(第4位)
第 4位 ANA全日空(第 2位)
第 5位 カンタス航空(第 8位)
第 6位 JAL 日本航空(第 5位)
第 7位 トルコ航空
第 8位 エールフランス(第10位)
第 9位 大韓航空
第10位 スイス航空

次に特別きれい好きな人のために機内の清潔度ランキングでベストテンに格付けされたエアラインをお知らせする。
The World"s Best Airline Cavin Cleanness in 2022
第 1位 ANA 全日空
第 2位 シンガポール航空
第 3位 JAL 日本航空
第 4位 カタール航空
第 5位 海南航空
第 6位 アシアナ航空
第 7位 大韓航空
第 8位 中華航空
第 9位 フィジー航空
第10位 キャセイパシフィック航空
  


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2022年09月23日

FBJのダッソー・ファルコン  

ごろは小型ジェット機やヘリコプターを保有する会社は珍しくなくなった。そもそもビジネスジェットって何だ? 社長が彼女と隣の国までお忍びデートに便利、なんてゲスな考えをしてはいけません。ビジネスジェット機を使えば、一般客の人混みをよそに効率よく短時間で出張業務をこなせるし、内外の顧客をのせて視察に使えば大いにステイタスもあがる。と時流を読んだFDA(フジ・ドリーム・エアライン)が先ごろ兄弟会社(?)FBJ(フジ・ビジネス・ジェット)を旗揚げした。


足に先駆けFBJは使用機ダッソー・ファルコンLXSを公開した。ファルコンはミラージュ戦闘機を作ったフランスの航空機メーカー、ダッソー社の双発小型旅客機。最大速度はマッハ0.862、航続距離4000海里(7,410km)というから日本からシンガポール、アラスカまでは無着陸で飛べる。最大乗客定員は19席だがFDAではゆったりした配置で10席仕様に設定した。あの椅子に座れば007かスペクターのボス気分だろう。乗客側の要望で飲み物や軽食のサービスにも応じられる。このファルコン2000はすでに300機以上が生産され、日本では海上保安庁が洋上監視用に使っているが、民間旅客機に使うのはFBJが最初である。

FBJの保有機はダッソー2000の他に、セスナ・サイテーション(乗客定員6名)が3機。料金は飛行時間を基礎にして着陸料、搭乗空港までの送迎料などが加算される。ファルコンの場合、羽田ー新千歳間の片道飛行料金は約250万円になるというが、詳しくはFBJに尋ねてください。電話0548-29-26 ファルコンを初めて見たのは2013年のパリ航空ショーだった。ダッソーのブースには実機の他に900から2000まで各型の模型が並んでいた。カッコよかったが、10年後現実に日本にファルコンでビジネスを展開する会社が生まれるとは思わなかった。



  


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2022年09月16日

FDAのエンブラエル 175

用で小樽に行くことになり、迷わずFDAを利用することにした。前から乗りたかったフジドリームエアラインだ。折悪しく台風11号接近に重なり心配だったが、日頃の心げけよろしきを得て運航決定。小雨に煙る富士山静岡空港からティーグリーン塗装の8号機で出発できた。この時点で定刻30分遅れだった。


行機は好きだからいろいろな旅客機に乗っているが、根が小心者ゆえヘリコプターと小型機はパスしてきた。FDAが保有するのはブラジル製のERJ170/175。(170は最大乗客席数76席、ストレッチ型の175が86席と聞く)搭乗口をくぐると畿内は明るく広い印象だ。床から天井まで2メートルある空間の効果もあろう。単通路をはさみ左右に2席づつ並ぶ座席は上品なライトグレーのレザー張り。テレビモニターやイヤホーンなど音楽調整装置のないシンプルさに好感できる。CA(客室乗務員)は2名、なんとなく昔のJALの制服に似たいでたち。

雨の中、手を振る地上スタッフに見送られERJ175はゲートを離れた。短時間で滑走路の出発点まで移動できるのも小さな空港の利点だ。GEのCF34エンジンを全開にして乗機は滑走を始め、あっという間に宙に浮き雨雲を突き抜けて青空に駆け昇った。畿内アナウンスが聞き取りにくほどエンジンの音がやかましかったが、それよりも気流の影響で大揺れの飛行になり、最後まで座席ベルトを外せなかった。

平飛行に移っても大揺れは続き、その中でCAさんたちは畿内サービスを始めた。畿内サービスは飲み物と菓子で、すべてH製茶とかC製菓、A飲料などスポンサー付き。この8号機は後援企業H製茶のために新茶色に塗装しているわけだ。ボクは大揺れの機内を最後尾まで歩いてトイレに行こうとしたらCAさんに(申し訳ありません。今は席にお戻りください)と拒否された。つらい我慢の時間を過ごしているとCAさんがやってきて(トイレがご使用になれます)、という。座席番号も名前も伝えなかったのにすごい気遣い!感心しました。これも小型機ならではの行き届いた配慮だ。たかだか2時間弱のフライトだが乗客を大切にする丁寧な仕事ぶりだった。

もあれ搭乗機は揺れながらも順調に飛行して、30分の遅れを取り戻し新千歳空港に安着した。エンジンは少々喧しかったがいい印象が残った。ブラジルの半国営企業として発足したエンブラエル社は、今ではボーイング、エアバスに続き、かつてのライバル企業ボンバルディアを追い越して世界第3位の航空機メーカーに躍進している。(ミツビシのMRJがずっこけなければ占めていた位置であろう)復路便はパープル塗装の6号機。これまた遅れを簡単に取り戻す快速で静岡空港に着陸した。フジドリームエアライン、また乗りたくなる飛行機だ。









  


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2022年07月29日

いつまでもフレンドシップ  

フォッカー・フレンドシップが初飛行したのは半世紀以上も昔で、「お前、まだ飛んでいたのか!」と肩を叩いてねぎらいたい老朽ヒコーキだ。先週その老体が南スーダンの荒れた飛行場に着陸しようとして大破する事故があった。


行機はアイコン航空に所属するフレンドシップ50。国連機関のチャーターでジュバからルブコン飛行場まで食料を運ぶ仕事だった。乗員は機長と副操縦士、機関士の3名。(着陸体制に入った時、機関士は左側の車輪がパンクしていることに気づいたが万事休す。写真で見るとルブコンは飛行場とは名ばかりで荒野の広場みたいなところ。機体は左側の主翼を大地に擦って強行着陸。機長の腕がよかったのか運がよかったのか、三人とも無事に生還した。古い飛行機は飛ぶ前によ〜く点検しましょうね。

日後、今度はお近くの国、ソマリアでまたフォッカー・フレンドシップが事故を起こした。こちらのフレンドシップはジュバ航空に所属する旅客機で乗員3名に乗客33名が乗って海辺のモガディッシュ国際空港(あの映画「ブラックホーク・ダウン」の舞台になった街)に向かっていた。飛行中は問題なかったのに、着陸体制にはいり、管制塔の指示通り5番滑走路に進入下まではよかったが、どうしたわけか左の主翼が根元から折れた。機体は横転して着地、腹を空に向けて停止した。しかし直後に出火もあったが驚いたことに乗員乗客36名は全員無事に脱出に成功。これは間違いなく幸運➕奇跡だ。

レンドシップはYS-11よりも7年ほど初飛行が早い先輩だが、オランダのフォッカー社はアメリカのフェアチャイルド社を協力会社にした営業戦略が功を奏し、YS-11の二倍も多く製造販売した。ボクも一度だけ八丈島から名古屋までお世話になったことがある。地味で手堅いリージョナル輸送機で、高翼だから大きな丸窓から地上の景色がよく見えるのが印象的だった。


  


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2022年07月08日

わが心のキティホーク  

しぶりに街に出た。人混みを避けて散策し、行きつけの古書店に入った。目の高さの棚の本の背表紙がボクの眼にとびこんだ。それが「わが心のキティホーク」世界航空史跡探訪だった。

ティホークとは古い飛行機ファンなら、ライト兄弟が世界で初めての飛行機で空を飛んだ実験場の地名であることを知っているだろう。この本は”ヒコーキ博士”木村秀政センセが書いた歴史的飛行機の聖地巡り記だ。あとがきによれば雑誌「航空情報」と「航空ジャーナル」に長期連載されたものという。

容はライト兄弟の事績だけでない。英仏海峡を初めて横断飛行したルイ・ブレリオやニューヨーク・パリ間大西洋を無着陸飛行したチャールス・リンドバーグ、ツェッペリン、アメリア・イヤハート等が航空史に残した足跡17件のエッセイだ。

例えば1910年にブレリオ単葉機でアルプス横断飛行150kmに挑戦したジェオ・ジャヴェースの章では、木村センセはスタート地スイスのブリークからはじめて、コース難所のシンプロン峠、中継地イタリア,ドモドッソーラ郊外のジェオ墜落地点まで丹念に航跡を追いかける。さらに墜落地点から搬送された病室、さらに郷土博物館に残るブレリオ機の残骸までカメラに納めている。ヒコーキに関する木村センセの情熱にはひたすら感心するばかり。

れしいことに装丁は、ヒコーキを描かせたらピカイチだった故おおば比呂志さん(おおばさんはもうひとりのヒコーキ博士佐貫亦男センセと「ヒコーキの心」や「飛べヒコーキ」シリーズでもいい仕事をしているイラストレーター)。タイトルはウイリー・ネルソンも唄ったアメリカン・フォークのGeorgia on my mind(わが心のジョージア)にひっかけたんだろう。(「わが心のキティホーク」は1981年に株式会社平凡社発行。ヒコーキ好きの人におすすめしたい一冊です。近くの図書館で見つけてください)



  


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2022年07月01日

イリューシン76の離陸失敗  

「ロシアとロシア人は退屈しない」と言ったのはロシア語通訳者でエッセイストの故米原万里さんだ。ウクライナで悲惨な戦闘行為が進行中のいま、『退屈」というのは不穏当で、誤解を恐れながら言わせてもらえば、ロシア人の無とんじゃくさにはあきれるものがある。たとえばトラックを未舗装の泥道で強引に走らせてぬかるみに埋まり動けなくしたり、戦車を渡り板でトレーラーの荷台に載せようとして踏み外し、戦車が荷台の外に転がるシーンなどはYou Tubeでよく見る光景だ。国際宇宙ステーションを打ち上げる科学者と同じ国の人とは思えない。

6月24日 乗員9名を乗せてデアジレボ基地を離陸したIL-76MD輸送機が緊急着陸しようとして墜落した。この日、訓練飛行中だったIL-76は燃料補給のため最寄りのリャザニ空港に着陸しようとした。ところが管制官がIL-76の第4エンジンから出火しているのに気づいた。操縦士は急いでタッチ・アンド・ゴー(緊急再離陸)の操作をとったが機体は裏返し状態になり、壊れなが滑走して樹木にぶつかり停止した。4基のエンジンの1基は現場から1kmも離れたところで見つかったという。結果4名が死亡し、5名が重傷を負う悲惨な事故になった。犠牲者の方にはお気の毒だが、これも原因はロシア人の無とんじゃく、不注意じゃなかろうか、と思ってしまう。

  


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2022年06月10日

「翼を愛した男たち」を読んで「紅の豚」を思い出した。  




食制限やマスクしばりがゆるもうと、二年間余り強いられた引きこもり習慣は、そう簡単には戻らない。相変わらず自宅にこもり古い本のホコリをはたいて読んでいる。そのおかげで良い本に出会えた。フレデリック・フォーサイス編著「翼を愛した男たち」(1997年 原書房刊)だ。



紙カバーの惹句には「飛ぶ能力を与えられなかった人間は、空を征服することが、最後のl偉大な冒険であることを知るや、危険を顧みずに挑み、あるものは生還し、あるものは消えていった…。フレデリック・フォーサイスが愛したそんな男たちの熱い物語。冒険小説ファン垂涎のアンソロジー1」とある、フォーサイスが選んで集めた14編の作者はH.G.ウエルズを筆頭に、エドガー・アラン・ポー、コナン・ドイル、レン・リチャード・パック、デイトン、W.E.ジョンズ、H.E.ベイツ、ロアルド・ダールその他、ボクには初見の作家もあるけど、どれも味わい深い短編だ。

上の写真は(プラモデルじゃありません)フォッカーDr-1の復元機。ダックスフォードRWMにて

とえばW.E.ジョンズの「スパッドとシュパンダウ」(Spads and Spandaus 熊谷千寿訳)は、あきらかに語呂合わせだが、第一次大戦時のヒコーキ好きならドキドキする題名だ。物語はRAF SE-5複葉機でリヒト・ホーフェン・サーカスと苦戦中のイギリス空軍の基地にアメリカ空軍部隊が応援にやってきた。傍若無人なヤンキーの若者たちが繰るのはフランス製のスパッド戦闘機。イギリス空軍のベテラン小隊長ビグルスは気がきではない。これは映画「フライボーイ」で見た世界だ。




左の写真は航空機搭載用機関銃 ラ・ブルジェ航空宇宙博物館で撮ったもの






ンチクをはさむ。シュパンダウは当時連合軍に恐れられたドイツの航空機用機関銃。兵器工廠があったベルリンのシュパンダウ区の地名からきた。初めは陸海空軍の汎用機関銃として設計されMG08/15と命名された。(そう言えば昔「08/15」というドイツ映画があったね。最高のモノという兵隊スラングだとか)シュパンダウは布ベルト式給弾で1分間に500発の発射能力があった。しかし頑丈な銃架が必要で4ℓの冷却水を含め60kgも重量があり、空中で飛行士が一人で扱えるシロモノではない。主に陸軍の重機関銃として使われた。


左の写真はミュンヘンのドイツ博物館別館で撮った航空機用改良型シュパンダウ。かなりコンパクトになった。








の後再設計され空冷になり給弾も弾倉式に変わり重量も18kgになった。ドイツ空軍はシュパンダウ機関銃を回転するプロペラ越しに発射できる同調方法を実用化して優位にたった。(すぐに連合軍もビッカース機関銃をプロペラ回転越しに撃てる同調方法を会得した)

上の写真はフランスのブレゲー14 複座偵察機。後部銃手が装備品を受け取っている実物大ジオラマ。機関銃はルイス系の二連式。フランス人はもっぱら円盤型弾倉のルイス式機関銃がお好みのようだった。(ラ・ブルジェ航空宇宙博物館にて)


ュパンダウは宮崎駿監督の「紅の豚」にも登場した。地中海の小島を秘密基地にした一匹オオカミの飛行士ポルコが、夜、ランプの明かりの下で7.92mmモーゼル弾を選別しながら昔話をするシーンがあった。ポルコの愛機はイタリア製サボイアS-21で、このシュパンダウ機関銃を1丁だけ載せている。

の話に戻る。ロアルド・ダールの短編「彼らは永らえず」(伏見威蕃訳)にも「紅の豚」に通じるシーンがある。舞台は第二次大戦後期、パレスチナのハイファに駐留するイギリス空軍の基地だ。哨戒任務を得てハリケーン戦闘機が1機飛び立った。搭乗員はフィン。ところがハリケーンは戻らない。飛行可能な燃料が切れても戻らない。しかし翌日、フィンのハリケーンが何事もなかったように基地に戻ってきた。フィンは仲間に不思議な話をした。空中で針路を失い不思議な光景を見たというのだ。敵味方の無数の飛行機が編隊を組んで静かに蒼空の彼方へ向かっていた、という。数百、数千という飛行機が銀河のように列を成して…。そう。「紅の豚」でポルコが語る回想シーンにあったあの光景だ。空には未知の空間がまだまだあるんだね。(今回は昔話のせいでつい脱線してしまった) 


  


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2022年06月03日

ネパールでの墜落事故  

「世界で最も危険な空港ワースト10」では常連のポカラ空港(ネパール)近くでまた22人が死亡する凄惨な墜落事故があった。

落したのはタラ航空に所属するデ・ハビランドDHC-6ツイン・オッター双発機。原型の初飛行は半世紀も前の1965年、最終型は1969年に登場し、1988年までに約800機を送り出し製造終了した。オッターの長寿命は持って生まれたSTOL性能で、離陸は460mほど、着陸でも600mほどの滑走距離で済むという通常の半分ほどの滑走距離という特技のせいだ。古い飛行機でもちゃんと整備されてるものは立派に働いている。ただしDHC-6の場合、(Twin) Otterはカワウソの意で日本語では「オッター」が正解だが扱い代理店の意見でオッターは「落ちた」に通じて具合が悪いということで「オター」と呼称しているそうだ。


ころでポカラ空港は山の斜面に造られた一本滑走路の国際空港。着陸は登り坂で離陸はくだり坂になる。操縦士は毎回ジャンプ台から飛び立つ選手のような心境だろう。過去の事故をみると着陸より離陸時の事故が多い。今回は無事に離陸して飛行時間にすれば22分先のジョムソン空港に向かっていたが、13分後に何らかの突発事態で消息を絶った。そして20時間後、岩山に墜落した状況で発見された。事故原因の調査は始まったばかりだ。 ポカラ空港そのものに原因はなかろう。いまは遭難した搭乗者の皆さんのご冥福を祈るばかりです。



  


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2022年05月20日

シロウトがセスナを着陸させた話 

行中のセスナ機の操縦士が突然意識を失った。代わって操縦未経験の乗客が管制塔の指導を受けて操縦桿を操作し、無事に空港に着陸し生還した、という安手のテレビドラマにありそうな事件がアメリカで実際に起きた。


棚のどこかに「ジャンボジェット機の飛ばし方」という本があるが、ボクはジャンボジェットどころかセスナすら飛ばせない。以前パソコンにジョイスティックをつなげ「A-10サンダーボルトのフライトシュミレーション」をやったけど、一度も無事着陸できなかった。飛行機の操縦ってそこそこ難しい。

は5月10日の朝、1機のセスナ208キャラバンがL.トンプソン国際空港を飛び立った時から始まる。詳しい事情はわからないが、セスナには操縦士のほか2名の客が乗っていた。しばらく後、フロリダの航空管制官はセスナ208の乗客らしい男性から緊急無線を受けた。

縦士が突然意識を失ったようだ、という。その時点で乗客の男は、自分は飛行機操縦の経験がないこと、現在飛行中の位置も進路もわからない、と告げた。管制官は男を落ち着かせ、まず飛行機の位置を探知するから、いまから教える操作でフロリダの海岸に沿って北か南に向かって飛び続けるように指示した。管制官のアドバイスは素晴らしい。海岸線沿いに飛ぶかぎりセスナは本土を離れて大西洋の彼方へ行く心配はない。ほどなくセスナはボカ・ラトンの東方沖20マイルを飛んでいることが判明すると、管制官は操縦する男にフロリダのパームビーチ国際空港への飛び方を教えた。大変なやり取りの末、昼の12時半頃、奇跡のセスナはパームビーチ空港に着陸した。動画をみるとセスナは少し主翼を上下に震わせながら上手に着地していた。シロウト操縦士の身元はわからないが、大きな仕事をやりとげた。しかし、ボクは1番の功労者は管制官だと思う。心温まるGreat Jobだった。視界に恵まれた昼間ということも幸いした。(情報はUSA TODAYより)


  


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2022年05月09日

ダックスフォードは皐月晴れ  

勝記念にお祭り騒ぎをするのはロシアばかりではない。移行期大好きなイギリス人もこの時節はノルマンディ上陸作戦成功のVE Dayはじめ対独戦勝のお祭りイベントが続く。5月8日にはパンディミックでしばらく開催を控えていたダックスフォード・エアショーも入場チケット完売で盛大に開催された。(ちなみに入場料は大人£30、シニアと学生は£23)。


のダックスフォードの草原の上をスピットファイアやハリケーン、メッサーシュミットBf-109(実はイスパノHA112)、ムスタングP-51やボーイングB-17などが次々に乱舞するだろう。懐かしい景色だ。今年はこの後6月5日はDデイ記念航空ショーがあり、7月23日にはアメリカンズ・デイが賑やかに開催されるそうだ。


  


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2022年05月06日

プリンターが壊れた  

好天が続く皐月日和だが泣き言をひとつ。愛用のプリンターが壊れた。


ボクのプリンターはC社からはじまって3代目、購入時1万円をきるE社のカラープリンターだ。実用的な4色機でスキャナーや単純プリント機能もあり、もう2〜3年間便利に使っていた。泣き所はインキ代で、これまでに買ったカートリッジ・インキの代金は本体プリンターの価格を優に上回る。つまり愛馬の値段より飼葉の値段をたくさん支払っている。

今回の故障は印刷した紙がローラーが巻きこまれた。それは除去したが、今度は正常に印刷できなくなってしまった。折悪しくゴールデンウイークで、問題解決に泣きつきたい修理サービスセンターは連休。泣く泣く休み明けを待っている。近頃どちらのメーカーのアフターケア体制もよろしくなったが、修理料金は安くない。新品が買えるほどの見積もりをもらうこともあり、ボクら修理を第一に選ぶ人間には悩ましい。ああ心配だなあ。  


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2022年04月22日

いったい何が起きたのだろう  

このところずっと気になってるのは中国東方航空の墜落事故だ。
すでにブラックボックスが二個回収されたが、中国当局は何も発表しない。墜落現場近くにある鉱山の防犯カメラが撮った映像が、今のところ唯一の手がかりか。まるでエンピツみたいな機体が垂直に落ちていた。わずか数秒間の映像でわかりにくいが、翼のようなものがない、どう見ても飛行機らしくない物体にみえた。空中で翼(同時にエンジンも)もげてしまったのだろうか?あの形で9000mを一気に落ちたら、操縦士も客も声をあげる余裕はない。中国政府当局は事故調査結果を明らかにしていない。この奇怪な飛行機事故の謎が解明される日がくるだろうか。  


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2022年04月13日

さらば ヒギンス  



虫が知らせか2月26日のブログに「ヒギンス再読」を書いた。そのジャック・ヒギンス氏が4月はじめに亡くなった。終の住いは英仏海峡にあるジャージー島だったが、死亡原因など詳細はわからない。92歳だったというから老衰でも不思議はない。兵役を務めたあと教師を経て作家になった。代表作「鷲は舞い降りた」はじめ生涯に82編の冒険小説を残した。作者は消えても作品は永遠に残る、という人もいるが、作品とても生き物だ。果たして「鷲は舞い降りた」が五十年後も読者をキープできるだろうか。ボクらは作者とほとんど同時代を生きた。よき時代をありがとう。
さらば、ジャック・ヒギンス。  


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